ソフビフィギュアの作り方(原型製作の依頼は相談してね)
SOFVI.TOKYOさんに造形師:吉田健児としてもインタビューして頂きました、↑コチラでも原型制作について語っています。
こんにちはヨシダケンジ(吉田健児)です。2022年5月”かいじゅうハムラ”でソフビデビュー。
ソフビはなかなかクセ者で、だからこそ工夫が面白いと言えるかな?
好き放題にデザインしたものをソフビ化(商品化)出来るか?と言えば、だいたい形状的に無理だったりするでしょう。
オリジナルなものを量産化するのはなかなか苦労があるのです。
「ここの部分の角度がこれだと逆テーパーになるから成型できないね。ゾルが行き届かない。気泡入ったり欠けてしまうね。」
「この形じゃ成型で抜けないね。んでここが小さ過ぎて厳しいね、成型時に伸びちゃう。あと、ここはワックス転換でカンチャク付けるスペースが無いね。」などなど..,めんどくさいっしょ?
ソフビ化可能なカタチには逃れられない厄介な制約がつきまとうのです。
希望のデザインがある上で、独特な制約を解決しないとそもそも量産化出来ないのですから。
量産化するにはソフビにするくらいしかない。しかし、ソフビにするには制約が多い。
私自身、造形師として様々な造形をさせてもらってますが『ソフビの場合は造形/原型制作が厄介』なのです。
それ以外の造形/原型制作+αの技術、ノウハウが必要って事ですね。
それらを解決してソフビが仕上がっても、彩色をするわけでそこまで見越して造形してないとなかなか面倒な事になります。各工程のプロがバラバラなのがこの世界の常識なので、原型の段階で見据えてないと本当に厄介。
※全工程を一括で全部出来るように書いてる工場とかありますが、各工程を外注してるだけです。私にも工場経由で依頼があります。
画面左下に、お手伝いハムスターによるチャットが登場しました。要点を教え込んでるので聞いてみてね。
現役作家で、”かいじゅうハムラ”が凄く可愛いからなのか(なんつって)、常に造形/原型制作を頼まれてる状態で光栄の至りです。作例の一部を、少し下で載せさせて頂いております。ご相談の際は、三面図(正面から見た図、横から見た図、背中側から見た図)はくださいね。『どのようなものを作りたいか』を伝えてもらう必要があります。『ざっくり案はあるけどイラストが苦手』って人は、心得てるイラストレーターを紹介するのでご相談ください。基本的にLINEでやり取りをしまくる事になります。
私の特徴としては、工房にて原型制作まで一括で全て出来る事と、修正が容易で確認しまくりながら造形するので希望に沿える事、そして『ワックス転換』や『金型』を含め設備投資が終わるまでお世話できる事(2024年8月以降)です。私自身が『造形師/原型師』というよりも、キャラクターデザインも造形も彩色も全部やってる『作家』なので他の工程も製品化後も見越せるってのも特徴かもしれませんね。
※いつも詰まってる状態なので通常すぐには出来ません。タイミングによりますが2〜3ヶ月待ちの場合があります、なおいっぱいいっぱいで承れない事も増えてきたのでご了承いただければ。
※彩色したらこんな感じ。エアブラシで吹いてます。私のデビュー作『かいじゅうハムラ』。
ここでは、原型製作を依頼された際『どのような工程で原型が仕上がるか』の説明を書いていきます。
そしてその後どうなるのか、も。依頼された際にここをサラッと見てもらう用でもあります。
15分くらいあれば読めるんじゃないかな。
目を通して頂ければソフビ製作の全容がイメージ出来るようになるでしょう。
実はかなりガッツリ書いてるので、何回か読み返してもらったらいいかもしれない。
一回で把握出来ずとも何度か読み返せば分かるものです。左下の『お手伝いハムスターチャット』もかなり有用だと思います。
自分の工房を持ってますので私が実際に原型を造ってるこの流れは効率化されています。現役で作家してますのでトリッキーなことや無駄なこともしてないオーソドックスなスタイルです。
では、見ていきましょう。
デジタル造形について
私、ヨシダケンジ(吉田健児)はApple Mac×Wacom×Zbrushによるデジタル造形にて原型製作しています。
デジタル粘土を使ってモデルを彫刻するツールとして有名なZbrushというソフトウェアでの造形になります。
引っ張ったり、彫ったり、伸ばしたり、粘土を使い手作業で作るアナログ造形と工程がほとんど同じです。ほとんどっちゅうかそのまんま。極めてアナログに近いデジタル造形です。
映画シン・ゴジラのゴジラもZbrushでしたね。第一線のプロ御用達です。
↑これは各店舗で取り扱い中のかいじゅうハムラを仕上げた様子。
世界最大級の造形・フィギュアの祭典Wonder Festivalの表紙にも抜擢して頂いたデビュー作。
“そのハムスターは大きくなり過ぎた..”
飼ってるハムスター(ハム♂)が巨大化し怪獣になりかけている!大変だ!!
もっと粘土っぽい感じで手でグニョグニョやったような造形というか、グチャッとしたラフな造形も当然出来ます。やってる事は粘土をこねて作るアナログ造形と一緒ですから。
以下、発売前の作品も含む造形実績の一部をご紹介。
知ってるキャラクターやショップ等で見たことある作品もあるのでは?
シンプルなものからディテールの多いものまで、リアル系なども。ランダムに差し替えてます。
当然すべてソフビの制約をクリアさせています。
一見、アウトなものも混じってますがフォルムを保ちながらギリギリOKのレベルに持っていっています。
例えば、
・3つ目のケチョス君ですが本来ソフビ化するのはNGな形状です。デザイン案の段階で工場にもNOを突きつけられてたらしい。ポイントは、手首や足首が細く手や足が成型で抜けない。目の形状も抜けない。つまり全箇所抜けない。ですが、細かい工夫と調整により量産化可能に落とし込みました。全ては造形次第です。
・5つ目のハビット君も厳しい。武器もキツいしマントも本来キツい。ここも調整と工夫により解決。
・7つ目にゃらえもん君、シッポの形状が逆テーパーなので調整し解決へ。
・9つ目の子達は小さくしたいって希望だったので極限を狙う必要がありました。各工場と打ち合わせをして。小ささを狙う際に様々な問題に直面します。各部の太さ、成型の伸びや全箇所のカンチャクスペースの確保などなどあらゆる問題が出てくる。デザインを維持しながら、もちろん解決。
私自身が造形出来ないとかそんなハナシではなく、結局最後の工程である成型で引っかかるのです。
ソフビの制約というのはつまり成型の制約です。
単純化して言えば、どんなデザイン形状でも造形/原型制作は可能だし、ワックス転換も可能、金型も作れる。しかし、成型が出来ない。
つまり、いざ最後まで進めても肝心の量産化が出来ない。全く意味がないってことになります。絶望ですね。
そんな地獄みたいな事にはならないよう、その後の工程であるワックス転換工場、金型工場、成型工場と連絡を取りながら造形することが必要となります。各工程でそれぞれの職人がチェックしながら進みます。
全員が見逃してしまって、金型まで仕上がったのに成型が出来ない!なんて事あるの?
どうなんだろう?あるんじゃないかな。経験したことは無いけど。。悲惨だよねそれ。責任のなすりつけ合いはどうなるんだろう。。。?経験したことないし、今後もするつもりは無いので他人事だけど。。。
成型工場にあらかじめ聞いておけば、そんな事には絶対ならないんじゃないの?
いや、そういうわけでは無いんだよ。不安にさせる気はないんだが、成型工場も結局は経験則でしか無い。工場としては「大丈夫だと思う」くらいしか言いようが無いんだ。実際にやってみないと分かんないって事になる。明確にダメな問題は分かるよ?逆テーパーとかはどう転んでもアウト。その他の問題は「確実」とまでは明言出来ないんだ。希望のデザインがあるわけで、ソフビにする為に全然違うデザインになっちゃったら意味ないでしょ?だから維持しながら造形することになる。なので、成型工場に至る前からそれぞれの職人の経験則でチェック入れる感じ。「(おそらく)大丈夫だろう」とね。ニュワンスとしては、みな100%確信は無いよ。まあみんなプロですからまともな工程踏めば大丈夫だよ。
極めてアナログに近いデジタル造形なので、ささやかなディテールが暖かみや個性を生みますね。
そして、各箇所を分割しそれをそのまま8Kクオリティーの3Dプリンターで出力。
さらに数日かけて表面を磨いて、
こんな感じで原型が完成するわけです。まあ大変な作業ではあります。
どうしてわざわざ分割するの?
①分割しないと形状的にソフビとして量産化出来ないから。②そこを動かしたいから。③穴を塞ぐしかないから。などの、複合的な理由だね。だいたいいつも①の理由が占める割合が大きいよ。
造形の記録はデータですので、大きさをいつでも自由に変更可能だったり、製品化後もいじれたり『あらゆる面においてデジタル造形の方が優れている』と確信しています。
イラストを描く人がいまやデジタルで描くのが主流なように。
そして、今まで紙にイラストを描いてきた人がデジタルで描くようになっても劇的に作風変わらないですよね?
その方が便利だから皆さん努力して移行してるだけで。
とんでもなく上手くなるわけでも無く、個性が激変するわけでも無い。それと同じです。
例えば、もうほとんど全体の完成形に近づいた時に「んー、、最初に提示したイメージよりもうちょっと顔は大きかった方がよかったかな。。」と考えが変わったとしてもデジタル造形なら対応は可能です。
アナログだとちょっと無理ですよね。もう一度顔部分を粘土で盛って大きくして、再度顔を掘り込んでいく事になる。それはつまり作り直しである。
そう、修正が容易であるというデジタル造形の特性が、制約の多いソフビの場合特に大きな利点となるのです。
ワックス転換工場、成型工場とその都度擦り合わせる事ができる。
ソフビが出来上がる工程は?
さて、ソフビが出来上がる工程は以下の通り。
上記過程を辿ります。どれも省けません。ソフビを作るには確実に必要な工程です。
そして、それぞれバラバラの中小工場(国内)です。設備も技術も従業員も必要なので、1つの工場で全部の工程をやれってのが無理なハナシなわけです。各工場は、各工程に特化して成り立っています。
近道や別ルートは無いだろうか?とか考えますよね。マジでどれも省けません。出来るなら我々作家もやってます。
イメージしやすいように以下に写真も載せます。これがソフビの金型です。
金型さえ仕上がれば設備投資は終わり。
その後は、欲しい時に欲しい色を欲しい分だけ成型工場に発注し、成型してもらうだけです。
(コラム)ワックス原型は儚い命
少し長い蛇足になりますが、興味ある人だけ。この工程の中で「金型が必要なのはわかる。成型(金型に材料流し込んで引っこ抜く→ソフビ完成)もわかる。。。ワックス転換?なにそれ?必要なの?」って感じの方が多いんじゃないでしょうか?簡単に説明しますと。私が原型を作ります、その原型の材質はレジンです。粘土こねて作る人ならもちろん粘土です。両者共に熱で溶けません。熱で溶けてくれるのが”ワックス(蝋)”なんですね。
結論から言うと、その金型を作るために”ワックスで出来た原型が必要”なのです。
金型工場が金型を作る際にどのように金型を作るか、ここは少し科学が入ってくるんですが、提出した原型の周りになんか銅線みたいなのを巻きつけて、水の中に入れ、電気を流して原型に金属の分子やらを付着させていくわけです。それにより原型が金属でコーティングされるわけですね。こうやって金属で型を取るわけです。その金属の型に材料を流し込んで引っこ抜けばソフビ完成って流れですね。さて、原型の周りに金属の分子を付着させたのはいいが、それだと原型をすっぽり金属が覆ってしまってるわけで中にずっといる原型が邪魔ですね?そのまま原型を取り出せればいいんだけどほとんど全部金属コーティングされちゃってて取り出せない。確実に引っかかるし。抜けない。鬱陶しい!邪魔だ!
これが熱で溶けてくれる”ワックス”ならば、熱を加えたら溶けて液体になってくれるので小さい穴からでも中身を流し出せる。そう、この為だけに僕らが提出した原型(レジンor粘土)をそのままワックスに置き換えてもらうわけです。これがワックス転換。金型を作る為に必須の工程です。具体的には、僕らが提出した原型(レジンor粘土)をシリコンで型取りし、そこに溶けたワックスを流し込み、固める。それだけではなく、パーツが結合するためのカンチャクもここでつけてもらう。そんな工程です。まさに職人技です。これで原型のクローンであるワックス原型(すぐに溶かされる儚い命)が出来上がるわけです。
つまり、上記写真(左)のワックス原型はもうこの世にありません。「金型を作る為に溶かされました。」
ワックス転換の工場に20万円くらい払って仕上げてもらったワックス原型(提出した原型のクローン)が跡形も無くなるのです!(衝撃)
なるほど。『ワックス転換』って工程は、金型を作る為の準備ってことか。
そう。『ワックス転換』って工程を挟むしかないんだ。少し突っ込んだ話をすれば、もともとの原型自体を粘土やレジンじゃなく”ワックス”で作れたら省略出来る可能性が出てくるよね。しかし、ワックスで造形をするなんて無理ゲーなんだよね。全く造形には向かない素材。だからみんな自由にぐにゃぐにゃ形を作れる粘土を使って造形するんよ。私ならデジタルな粘土(レジン)。数十年この工程が変わらないのには理由があるんです。近道はありません。
ワックス転換まで自分でやってる方もインディーズ界だといるっちゃいるんですが(とにかく出費を抑える為に)、明らかにクオリティ下がりますし専門のプロに任せるべきです。どうせ結合部分のカンチャクはワックス転換業者の職人技に任せるしか無いですしね。
なかなかソフビ製作において、どこに頼めばいいか分かんないですよね。それぞれの工程で工場がバラバラですから。
この記事最後のQ&Aで詳しく回答していますが、全工程をまとめてやってるように見えるところはそれぞれを外注してるだけです。
自分も最初は分かんないもんだから某大手に一括で任せちゃって相当高額になり痛い思いをしちゃいました。
さて、デジタル造形にあたり、冒頭に書いた
「ここの部分の角度がこれだと成型できないね。ゾルが行き届かない。」
などの問題は相談して解決するほかありません。相談というかアドバイスに近いですね。
ソフビの性質上物理的に成型出来ないカタチは誰がどうやったって無理なので。
デザイン画(正面、横、背面のイラスト等)をもらって造形するわけですが、
分割箇所をどこにしようか?とかも含めどうやったらソフビとして作れるか、ってとこも相談して造形ですね。ワックス転換の工場、成型工場にも確認しながら進めます。なるべく考え尽くして制作しましょう。
原型から製品化までの収縮率(縮む率)は、だいたい5-6%とされていますが工場によっては2-3%のところもあります。
私も新作の原型を工場に提出したところですが、おおよそ5-6%のはずなのでそれを見越したサイズにしています。
良くも悪くもソフビって、昔ながらの伝統工芸&手作業ですから不安定なトコロがあります。
昔ながらの作り方ですからね。それ以外に作る方法が無いから。先日、海洋堂の専務さんと話してる時に「(ソフビを作る工程を)なんとかもっと早くショートカット出来ないか探ってる」っておっしゃってたけど、大企業をもってしても無理なんだよね。今後もまあ無理だろうなと思っちゃう。各工場行ったけどホント面白いよ。
ちなみに、分割箇所を作らない1パーツでのソフビはいわゆる”指人形”です。
ソフビの成型は穴から材料を引っこ抜くわけで、必ず大きな穴が空いている。その穴を塞ぐようにパーツをくっつける事で一般的なソフビになるわけですね。そして、その付加価値としてその部分が動きますしね。
穴が開きっぱなしで安価に出来るのが指人形ということです。いい名前つけましたよね”指人形”って。開きっぱなしなだけなんですが。
造形物を実際にこの世界に出現させるのだ
さて、やっと最重要の造形が終わりました。
次は造形物を実際にこの世界に出現させます。3Dプリンターの出番です。
導入し使用しているのは2023年時点で最新のモノで、解像度8Kを誇る光造形です。
今後買い換える必要も無いオーバースペックだろうなってくらい最強クオリティーです。4Kどころじゃない8Kですからね。
0.05mm以下の極めて薄い層を何時間もかけて重ねていきます。そうやって造形したものが姿を現すわけですね。
実際に出力する際に、サポートと呼ばれる柱をくっつけます。柱で支えながらカタチづくっていくわけですね。
この柱の配置も厄介で経験則が必要、その上でトライアンドエラーの連続です。光造形と呼ばれる最新かつ究極の方式は、超細部まで綺麗に出力できる代わりに難易度がそこそこ高いです。
業者に頼んだら高額だし、原型として使用できるほどのクオリティーは対応してないはず。
原型として使用できるくらいのクオリティーでの出力を、やってくれるとこ無いんじゃないかな分かんないけど。
さらに、どうやったって表面処理までしなきゃいけないしね。(後述)
表面を綺麗に仕上げるのだ
やっと出力成功!(涙)
の次は、サポートを除去し表面処理をしないといけません。
見てわかりますが、柱がいっぱいついてるでしょ?
これを綺麗に全て排除していかないといけません。原型として工場に提出するんだから。
造形物にいくつもの柱が埋まりまくってるわけなので、ニッパーで切っただけじゃその跡は全く消えません。『サポート痕』と呼ばれます。これを1箇所ずつリューターやヤスリなどを駆使して地道に綺麗にしていくわけです。
さらに、0.05mmづつの層を重ねていくわけですがその層の跡は薄らあります。
究極の光造形といえども、原型として使う為にはその層までも綺麗に処理する必要があります。積層痕と呼ばれます。
コツと道具と時間が必要ですが、まあ根性と慣れのような技術で綺麗に仕上げるしかありません。
このまんまシリコンで型を取りワックスに置き換えられ、そのまんま製品になるわけなのでね。
表面処理は、乾燥→二次硬化も含めて丸2-3日くらいで仕上がるかな。なかなか苦行です。
ブースに持って行ってエアブラシでサーフェイサー吹きながら、時にはパテで埋めながら、何度も何度も繰り返して処理していきます。エアブラシ使えないと綺麗に仕上げるの厳しいかな。
そして、、、
やーっ!!!!
かいじゅうハムラとハムおとこの原型です。
まあこれ完成直前の姿なので分割付近がハゲてるように見えますが、この後最後のサーフェイサーを吹いてつるっつるのムッチムチに仕上がりました。サポート痕無いでしょ?かわいいね。
ちなみに原型やサーフェイサーでこのようなグレー(テラコッタ)が多いのは、”グレーが最も凹凸や傷を目立たせるから”です。
このようなグレーの状態ですら傷やサポート痕が見えないのなら、メチャクチャ綺麗に仕上がってるということですね。
ようやく終了。この後、ワックス転換をしてもらう為にこの原型を工場に送りました。
ソフビを作るための費用はいくらくらい?
さて色々書いてきましたが、以上が当方で出来ることです。原型製作に至るまで一括して全て自分の工房で出来るってとこですね。
労力や時間はモノによるので、費用とかはご相談ください。
現状、150000-200000円くらいでデジタル造形から原型制作までを一括で引き受けて制作しています。
大変なのでそこそこ費用はいただきますが、自分で作ってるのがメインなので報酬あんまり高くなくていいってスタンスではあります。最安値レベルのはず。
ちなみに、説明してきた通り私の次の工程は『ワックス転換』ですが、業界最安値クラスの工房でも私より高くなります。2パーツとかなら同じくらいになるけど、通常4パーツくらいのデザインが多いですからね。15〜20万円くらいはかかりますよ。相場は20万円以上くらいになっちゃうなあ。高いんだよワックス転換…いやほんと。ワックス転換は材料代が特に高いんだって。その次の『金型』は安めですけどね。ワックス転換より造形/原型制作の方が安いってのもオカシイんだけど、今んとこはコレで。
その代わりと言ってはなんですが、忙し過ぎる時はお断りさせてもらう時がありますご了承ください。あと、やはり個性とかスタイルは出ちゃうので私じゃない方が良さそうな場合。『ワックス転換』や『金型』や『成型』は技術によるけど、『造形』に関しては相性やセンスが重要でしょうから。
あんたが仕事を終わらせたその後、『ワックス転換』『金型』『成型』の工程へバトンタッチするわけだね。
そう、それなんだけど。要望が結構多かったし気持ちは分かるので、2024年8月以降、『ワックス転換』『金型』までの工程も面倒みることにしました。各工場と連携するのにちょっと時間かかっちゃったけど今後は大丈夫。もう一度以下のイラストをご覧ください。
作家も造形師もやってるので、各工場把握しています。価格、技術、納期。この3点が各工場バラバラで開きが本当に大きい。もちろん私が勝手に各工場を選択するわけではなく複数の選択肢をアドバイスと共に提示するので、どこにするかアナタに選択してもらいます。「私が代わりにワックス転換工場と金型工場にそれぞれ仕事を頼む。」って仕組みになります。つまり、設備投資が終わるまで私の方で面倒見ます。ワックス転換の際の要望や、金型の際の要望も私から出せますしね。工場から要望があれば私が対応出来ますし。最後の『成型』工場は私がやる必要ないのでやりません、いいとこは当然教えますよ。別に特殊なルートを持ってるワケではなく、単にプロの造形師/原型師として仕事してれば把握出来ることです。
そうしてもらった方が頼む側としたら安心だね。原型作ってもらってもその次どうしたらいいかわからないもん。
今までも相談には際限なく乗ってたんだけどね。でもやっぱなかなかツライようなので2024年8月以降リソースを割く事にしたよ各工場と提携して。
工場によって全然違うの?全部国内の工場でしょ。
そうだよ。実は価格面だけ見ても、『ワックス転換』の工場の選択で5〜10万円変わってくるんだ(大きかったりパーツ多かったりするとさらに差は広がる)。『金型』工場はそんなには変わらないんだよね、3万円〜6万円くらいかな。ただしココは要望次第でめっちゃ変わる。具体的な説明するとここは長くなるので割愛。そして、『成型』工場では1体作ってもらう価格が倍くらい違ってきちゃう。ココが相当な初見殺しで、めちゃくちゃな額違ってくるんだよね。作れば作るほど倍額変ってくるって強烈ですよ、500円差なら100体作るだけで5万円。1000円差なら10万円ですよね。あと納期も数ヶ月違う。クオリティーはね、ほぼ変わんないんだよ成型は、、ネームバリューも全く使い所がない。工場にはちょっぴり失礼ではあるけど。そんな感じなのでルート次第で総額は凄い差額になる。かたや、ワックス転換とか金型は価格だけでなく技術が深く絡んでくるので、技術優先すべき原型の時はそれもちゃんと伝えます。ソフビの制約ギリギリを狙った造形の場合とかね。
以下からご相談ください。
ハムラドウ[Contact]
なんか営業のメールがめっちゃ多くて埋もれる可能性あるので、 Twitter Instagramの方が確実かもしれません。
フォローしてからDMしてくださいね。フォロー外からのDMは通知来ないので。
バリバリに造形師やってますが、あくまで作家であり専業の造形師じゃないので忙しすぎたりして断りたい時は断ります。あと自分じゃ向いてなさそうな時とか。
最後に、
他の各工程のおおよその目安ですが、
あくまで目安です。ぶっちゃけ各工場に見積もりだしてもらわないと分かりません。ワックス転換は「原型を見ないと見積もり出せない」となるし、金型は「ワックス原型を見ないと見積もり出せない」と言われますしね。仕方ないのです。我々作家もいつも前もって分かりません。作家仲間も私も新作を作るたびに「おおよそ40〜50万円くらいあればイケるよね」って感覚ですね。経験値があるのでおおよそは前もって予想出来ますけどね。
[各工程の目安]
・ワックス転換 100000-300000円? ※パーツ数や大きさで変動。
・金型製作 100000-200000円? ※パーツ数や大きさで変動。
・成型 ※作りたい数によります
さらに、塗装の際に必要ならば塗装治具・電鋳マスク 1箇所あたり30000円くらい。とかね。高いですねえ。。。エアブラシで綺麗に塗り分ける為の特注の銅板を作る専門の工場があるんです。以下のイラストをご覧ください。欲しい方はそれも私から発注出来ます。あくまでコレは「必要ならば」ってところなので無くてもいいです。実際作らない人も多い。私は最近マスキングテープで対応したり、3Dプリンター使って自分で作っちゃったりしてる。私が造形したものなら、その造形データに形を合わせられるのでそこそこの彩色マスクは3Dプリンターで作れます。ご相談いただければ。あくまで”そこそこ”ですから専門のプロには敵いません。
ソフビ作ろうと思ったらかなり費用かかりますよね。こればっかりはどうしようもないんですが。
なかなか勇気いりますよね。
各工程がバラバラの工場にならざるを得ないのも不安、まあそこは私がサポートすることにしましたが。
費用も各工程に行くまでハッキリ分からないってのも不安でしょう。
ただ、ソフビを作る工程ってのは昔から一貫して変わってませんので誰もが同じ道を辿るしかありませんからね。
大手玩具メーカーだろうが僕ら個人作家であろうと全く同じです。
まあ勇気いりますが、最大の難関である造形なら手伝いますよ。そしてその後の工程の案内も。
イラストレーターさんとかはほぼ皆さん造形師に投げてますしね。
踏み出すのは大変ですがご安心を、感動は凄いです。
自分が生み出した命がたくさんの人の手に渡り、海も越えて、その人にとって”大切なモノ”になっている。
どこかで誰かの心に開いた穴を埋めているかもしれない。そうであったら嬉しいなという願いも込めて。
<よくあるQ&A>
Q:イラストが苦手なので作ってもらいたいものを上手く伝えられません。その場合どうすればよいでしょうか?
A:イラストはもちろん正確なものがあれば話は早いのですが、それが無理だとしても依頼して頂く方が「確かな”答え”を持ってる」状態じゃないと造形する側としたらかなり厳しいです。”こうしたい”とかって答えが無いとこちらも正解を出しようがないですしね。ただ、そのような依頼も受けるので基本的には一緒に考えて探って答えを探します。程度によりますが、大丈夫っちゃ大丈夫。
Q:原型制作の見積もりってパーツの数や大きさで決められているのでしょうか?
A:原型制作は、[①デジタル造形→②3Dプリンターでの出力→③表面処理]の工程になります。パーツ数や大きさは②③にダイレクトに関わるのでそこも考慮はします。材料のレジン自体が結構高いですしね。それよりも基本的には①の造形所要時間がおおよそ検討がつくので、そこを考慮し見積もり出してます。造形しまくってますから読めるんですよね。後悔する時もたまにありますが、後出しで変更は今のところしてません。私としては並行して色々やってる中で、自分の都合で”合間にも出来る”ってのがありますしね。
Q:原型制作を完了していただいたあとはどうなるんですか?
A:仕上がった原型は依頼者に送る場合もあれば、直接ワックス転換の工場に送る場合もあります。後者の方が圧倒的に多いですね。次の工程は『ワックス転換』その次は『金型』なので私自身も任せてる工場を複数ご紹介し「ここは技術最強だけどちょい高め、納期遅い。」「ここは技術普通だけどかなり安い、納期早い」「ここは技術普通、価格高い、納期遅いのでメリットないかな」など細かくアドバイスしています。「このデザインは技術優先にすべきだよ」とか。我々のような作家も、ワックス転換や金型がいったいいくらになるのか提出するまで毎回分かりません。おおよそは見当ついてますけどね。私としてはどこにしてもらっても構いません。デザインの形状によっては制約とガチンコで戦う必要があったりして、造形の段階から工場と打ち合わせ必須の場合があり、その場合は「今回は打ち合わせしないと進められないので、先に工場決めといてもらいたいな。仕事任せないのに相談だけするわけにもいかないし。」みたいな提案はします。
Q:ソフビを作る工程で、プロがそれぞれバラバラとのことですがほんとに全部やってくれるところないんでしょうか?
A:存在しません。原型制作、ワックス転換、金型作成、成型、彩色マスク作成などなど、各工程を一括で引き受けてる(ように見える)ところは各工程を外注してるだけです。私にも工場から造形の相談来ますよ。そして、どこがやってるのか通常教えてくれないのでクオリティが分かりません。というか、小さい産業なのでそもそも各工程の工場が数えるほどしか存在しませんw。そのうちのどこかに投げるしかないわけですが、かなり不安定なんですよね。まあ私自身作家デビューの時経験しましたよ。何も分かんないから全工程で60万円くらいかかった。。今の私なら40万円で行けましたねあれは。先日知り合った作家は90万円以上かかったって。あれはヒド過ぎて50万円くらいで本来いける作品ですねあれは。嘘みたいな差額でしょ。んで自分の初体験の場合出来も微妙過ぎたし、、、。どこの工場が担当したんだろう?セミプロみたいな個人に投げたりするとこも知ってます。もちろんオリジナルのソフビを量産するには大きな資金が必要だけど、無駄金まで使う必要は無いですよね。各工程、専門的な技術も必要ですし設備も必要ですので全部の工程やれって方が無茶なのでバラバラの工場なのは仕方ありません。作家が各工程をバラバラに依頼する、せざるを得ないのは理由があるのです。
-profile-
ヨシダケンジ/吉田健児
・キャラクターデザイナー/造形師/原型師
2022年、ハムスターを愛するあまり、キャラクターデザインと立体造形に没頭し始める。
“そのハムスターは大きくなり過ぎた…”
大きくなり過ぎて怪獣化し始めているハムスター『かいじゅうハムラ』でデビュー。
同年、早々にワンダーフェスティバルのパンフレット表紙に抜擢、台湾進出など活動を始める。
「自分がそうしてもらったように。誰かの心に空いた穴を埋められるような、そんなモノを生み出して作っていきたい。」
・Singer/Songwriter https://kenjiyoshidamusic.com/
SENNHEISER審査員特別賞受賞アーティスト。
音楽ナタリー特集やTSUTAYA全国レンタル他、各ラジオにて特集、パワープレイ、エンディング曲。日本最大級の音楽情報誌JUNGLE☆LIFEコラム連載。CulTV×吉田健児タイアップ曲『ディストーション』など。
1st Album『forthemorningafter/吉田健児』 [produced by 西原誠(ex.GRAPEVINE)]
1st Single『I LOVE YOU/吉田健児』 [produced by 浅田信一]
CulTV×吉田健児タイアップ『ディストーション/吉田健児』 [produced by 五味誠(ZEPPET STORE)]
・行政書士(Administrative Lawyer) 立命館大学卒〜東京都行政書士会-
音楽活動と並行してた時期あるんだけど。現在は作家活動で忙しいのでお休み中。まあちょっと変わってるよね。
やあ👋❗️
何か手伝おうか❓