ソフビフィギュアの作り方(原型製作の依頼は相談してね)

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ソフビフィギュアの作り方(原型製作の依頼は相談してね)

SOFVI.TOKYOさんに造形師:吉田健児としてもインタビューして頂きました、↑コチラでも原型制作について語っています。
こんにちはKENJIYOSHIDA(吉田健児)です。2022年5月”かいじゅうハムラ”でソフビデビュー。

ソフビはなかなかクセ者で、だからこそ工夫が面白いと言えるかな?
好き放題にデザインしたものをソフビ化(商品化)出来るか?と言えば、だいたい形状的に無理だったりするでしょう。
オリジナルなものを量産化するのはなかなか苦労があるのです。

「ここの部分の角度がこれだと逆テーパーになるから成型できないね。」
「この形じゃ成型で抜けないね。んでここが小さ過ぎて厳しいね。」など、
ソフビ化可能なカタチには逃れられない厄介な制約がつきまとうのです。いやほんと厄介ですよ。
技術的に出来ないとかじゃなく、物理的に無理な事が多いのです。ソフビの性質上ね。
量産化するにはソフビにするくらいしかない。しかし、ソフビにするには制約が多い。。ジレンマですね。

それらを解決してソフビが仕上がっても、彩色をするわけでそこまで見越して造形してないとなかなか面倒な事になります。各工程のプロがバラバラなので原型の段階で見据えてないと結構厄介。

吉田健児
吉田健児

(追記)2024年4月より『お試し造形プラン』ってのを設けようと思います。相談受けてる中で、「いきなり信頼して頼むのは勇気がいるのだ」と知りました。安くはないですしね。
確かに「造形します」と言っていても意外にみんなド下手です。

そんな中でいきなり私を信用して依頼すること自体ハードル高いでしょう。実際に、時間と労力を割いてお試し造形をするのでその分の報酬は少しもらいますが。
とりあえずお試しとして言ってもらえれば、5〜10時間くらいかけて軽く造形します。思いっきり途中までになりますが、それで頼んでも大丈夫そうかどうかの判断材料にしてください。
(お試し造形プラン:1万円でお試し造形)

三面図(正面から見た図、横から見た図、背中側から見た図)はくださいね。『どのようなものを作りたいか』を伝えてもらう必要があります。基本的にLINEでやり取りをしまくる事になります。
私の特徴としては、工房にて原型制作まで一括で全て出来る事と、修正が容易で確認しまくりながら造形するので希望に沿える事です。私自身がデザインも造形も彩色も全部やってる作家なので製品化後も見越せるってのも特徴かもしれませんね。
※だいたい常時3件くらい抱えるようになったので納期は1ヶ月くらい(要望によっては2ヶ月弱)はかかります事はご了承ください。

※彩色したらこんな感じ。エアブラシで吹いてます。私の(おそらく)代表作&デビュー作『かいじゅうハムラ』。
ここでは、原型製作を依頼された際『どのような工程で原型が仕上がるか』の説明を書いていきます。
そしてその後どうなるのか、も。依頼された際にここをサラッと見てもらう用でもあります。
15分くらいあれば読めるんじゃないかな。
目を通して頂ければソフビ製作の全容がイメージ出来るようになるでしょう。

自分の工房を持ってますので私が実際に原型を造ってるこの流れは効率化されています。現役で作家してますのでトリッキーなことや無駄なこともしてないオーソドックスなスタイルです。

では、見ていきましょう。

デジタル造形について

KENJIYOSHIDA(吉田健児)はApple Mac×Wacom×Zbrushによるデジタル造形にて原型製作しています。
デジタル粘土を使ってモデルを彫刻するツールとして有名なZbrushというソフトウェアでの造形になります。

引っ張ったり、彫ったり、伸ばしたり、粘土を使い手作業で作るアナログ造形と工程がほとんど同じです。ほとんどっちゅうかそのまんま。極めてアナログに近いデジタル造形です。
映画シン・ゴジラのゴジラもZbrushでしたね。第一線のプロ御用達です。

↑これは各店舗で取り扱い中の”ハムおとこ”を仕上げた様子。
飼ってるハムスター(ハム♂)が巨大化し”かいじゅうハムラ”になってしまった。それに引っ張られるカタチで巨大化してしまった飼い主ですね。かわいそうに。私自身の投影みたいなものです。

もっと粘土っぽい感じで手でグニョグニョやったような造形というか、グチャッとしたラフな造形も当然出来ます。やってる事は粘土をこねて作るアナログ造形と一緒ですから。

こんな感じでグネグネとか。粘土そのものでしょ?

上記作例をよく見てもらえると分かりますが、足の付け根や頬、腕の付け根などにディテールも加えています。耳もそうですね。このようなささやかなディテールが暖かみや個性を生むと思います。

造形の記録はデータですので、大きさをいつでも自由に変更可能だったり、製品化後もいじれたり『あらゆる面においてデジタル造形の方が優れている』と確信しています。
イラストを描く人がいまやデジタルで描くのが主流なように
そして、今まで紙にイラストを描いてきた人がデジタルで描くようになっても劇的に作風変わらないですよね?
その方が便利だから皆さん努力して移行してるだけで。
とんでもなく上手くなるわけでも無く、個性が激変するわけでも無い。それと同じです。

例えば、もうほとんど全体の完成形に近づいた時に「んー、、最初に提示したイメージよりもうちょっと顔は大きかった方がよかったかな。。」と考えが変わったとしてもデジタル造形なら対応は可能です。
アナログだとちょっと無理ですよね。もう一度顔部分を粘土で盛って大きくして、再度顔を掘り込んでいく事になる。それはつまり作り直しである。さすがに頼みづらいのでは。

そう。修正が容易であるというデジタル造形の特性が、制約の多いソフビの場合特に大きな利点となるのです。
ワックス転換工場、成型工場とその都度擦り合わせる事ができる。

吉田健児
吉田健児

私の役割は、私の感性で勝手に造形することでは無く『依頼者がイメージしているものを立体造形してあげる事』です。
そもそも平面のイラストで伝えてもらっても、解釈やニュワンスをコチラで加えていかないと立体にはならないのですが、平面の状態でなるべくニュワンスも伝えてもらいます。
造形に必要なのが『感性』と『技術』ならば、主に技術を売るって事ですね。ただし、私の感性で提案とかはしますが。ソフビには形状の制約もあるし、先を見据えて造形しないといけませんから、それは経験者の知見を活用するしかないと思いますし。

とある工場の職人さんが「最近はパソコンでパパッと作れるんでしょう?」って話してましたが、それに関しては全く違いますw
上で書いた通り、デジタル造形は魔法のような手段じゃないのです。そこはアナログとあんま変わらない。
絵描きさんがデジタルで描こうと、紙にペンで描こうと、やってる事はあんま変わらないですよね。
事実、依頼受けたらずーーっと造形に没頭する事になります。だいたい100時間弱。

ラクだからデジタルで造形するのでは無く、優れているからデジタルで造形している

と捉えていただいて結構です。
私が造形を始める前、海洋堂のベテラン原型師さんが「これから先の時代、デジタルで造形出来るようにならないといけない。。。!」って事で長い時間をかけデジタル造形への移行に奮闘されてるって記事を読み、高齢な人が努力して対応しようとしてるんだから負けてられんな!と思ったものです。

(コラム)デジタルへの移行

イラスト業界等もはや当然のようにデジタルですが、音楽業界だとDAW(Digital Audio Workstation)みたいなものですね。今やDAW使ってないスタジオなんてありません。自分自身ミュージシャンとして「アナログレコーディングの方が味わい(暖かみ)がある」と思いたかった時期もありますが。古臭い機材はロマンがあるし。しかし、その『味わい』すらもデジタルで再現出来てしまう。『味わい(暖かみ)』とは例えば『ノイズ』です。昔のレコーディングだと、音声信号がアナログ回路をいくつも通る事でどうしてもノイズが乗ってくる。本来ノイズはサウンドにとって敵なのでエンジニアは一生懸命排除するんですが、排除しきれない。そうやって残ってしまった僅かなノイズ達が実は、味わい、暖かみを与えていたわけです。各サウンドを繋ぐ(埋める)潤滑油のような役割。デジタルでレコーディングした音源はどうしてもデジタル臭い、と登場時は言われていたそうです。実際そのまんまデジタルで録ったら音が細いんですよね。ピュアでクリーンな音とも言えるがとにかく細い。その原因はなんなのか?レコーディングエンジニア達が突き詰めて研究した結果、邪魔者だと思われていた『ノイズ』が重要な役割を果たしていた事に気づいたわけですね。つまり、DAWでノイズを付加してやれば同じことが出来る。各プラグインの進化も極まり、DAWはデジタル臭さを克服しもう完全に主流となりました。それと同じように造形においても、デジタル臭さを克服した画期的なソフトウェアがZbrushであると言えるでしょう。当然DAW同様、デジタルっぽくも出来る。Zbrushに関してはほぼアナログと同じなので、デジタルっぽさを出すのがむしろ苦手と言えますけどね。

ハム
ハム

…時代は先へ先へと進むのだね。

吉田健児
吉田健児

“抗いようが無い流れ”と言えるだろうね。ソフビとかってまだ『レトロ』って概念が色濃く残ってるので、イラスト業界、音楽業界、アクセサリー業界とかに比べて変化が遅いけど。その代わり、デジタルだと膨大な時間と努力を費やしてノウハウを学ばないとマトモに造形出来ないよ。ソフトもツールも高えし。

ソフビが出来上がる工程は?

さて、ソフビが出来上がる工程として、

原型製作(デジタル造形→3Dプリンターによる出力→サポート除去→表面処理)
②ワックス転換 #専門領域
③金型製作 #専門領域
④成型 #専門領域

この過程を辿ります。どれも省けません。ソフビを作るには確実に必要な工程です。

近道や別ルートは無いだろうか?とか考えますよね。マジでどれも省けません。出来るなら我々作家もやってます。
イメージしやすいように写真も載せましょう。左が②ワックス転換により仕上がったワックス原型、右が③金型です。
金型さえ仕上がれば、その後は欲しい時に欲しい色を欲しい分だけ成型工場に発注し、④成型してもらうだけ(数ヶ月待ち)です。

(コラム)ワックス原型は儚い命

少し長い蛇足になりますが、興味ある人だけ。この工程の中で「金型が必要なのはわかる。成型(金型に材料流し込んで引っこ抜く→ソフビ完成)もわかる。。。ワックス転換?なにそれ?」な感じの方が多いんじゃないでしょうか?簡単に説明しますと。私が原型を作ります、その原型の材質はレジンです。粘土こねて作る人ならもちろん粘土です。両者共に熱で溶けません。熱で溶けてくれるのが”ワックス(蝋)”なんですね。
金型工場が金型を作る際にどのように金型を作るか、ここは少し科学が入ってくるんですが、提出した原型の周りになんか銅線みたいなのを巻きつけて、水の中に入れ、電気を流して原型に金属の分子やらを付着させていくわけです。それにより原型が金属でコーティングされるわけですね。こうやって金属で型を取るわけです。その金属の型に材料を流し込んで引っこ抜けばソフビ完成って流れですね。さて、原型の周りに金属の分子を付着させたのはいいが、それだと原型をすっぽり金属が覆ってしまってるわけで中にずっといる原型が邪魔ですね?そのまま原型を取り出せればいいんだけどほとんど全部金属コーティングされちゃってて取り出せない。確実に引っかかるし。抜けない。鬱陶しい!邪魔だ!
これが熱で溶けてくれる”ワックス”ならば、熱を加えたら溶けて液体になってくれるので小さい穴からでも中身を流し出せる。そう、この為だけに僕らが提出した原型(レジンor粘土)をそのままワックスに置き換えてもらうわけです。これがワックス転換。金型を作る為に必須の工程です。具体的には、僕らが提出した原型(レジンor粘土)をシリコンで型取りし、そこに溶けたワックスを流し込み、固める。それだけではなく、パーツが結合するためのカンチャクもここでつけてもらう。そんな工程です。まさに職人技です。これで原型のクローンであるワックス原型(すぐに溶かされる儚い命)が出来上がるわけです。
つまり、上記写真(左)のワックス原型はもうこの世にありません。金型を作る為に溶かされました。
ワックス転換の工場に20万円くらい払って仕上げてもらったワックス原型(提出した原型のクローン)が跡形も無くなるのです!(衝撃)

ハム
ハム
なるほど。『ワックス転換』って工程は、金型を作る為の準備ってことか。

吉田健児
吉田健児
そう。少し突っ込んだ話をすれば、もともとの原型自体を粘土やレジンじゃなく”ワックス”で作れたら省略出来る可能性が出てくるよね。しかし、ワックスで造形をするなんて無理ゲーなんだよね。全く造形には向かない素材。いや、出来なくはないよ?ロウソクをちょっとずつ溶かしたりナイフで削ってみたりして何らかの形にするような作業だし。ただまあ自由には到底出来ないよね。だからみんな自由にぐにゃぐにゃ形を作れる粘土を使って造形するんよ。私ならデジタルな粘土。数十年この工程が変わらないのには理由があるんです。近道はありません。


私がやるのは、
①原型製作→②ワックス転換→③金型製作→④成型 の工程の中で、最重要な①原型製作です。
その後の工程は、私が原型作ろうが、ご自身で原型を作ろうが各工場に任せるしかありません。

ワックス転換まで自分でやってる方もインディーズ界だといるっちゃいるんですが(とにかく出費を抑える為に)、明らかにクオリティ下がりますし専門のプロに任せるべきです。どうせ結合部分のカンチャクはワックス転換業者の職人技に任せるしか無いですしね。
確かな技術と良心的な価格のワックス転換工場へ繋ぎます。私自身も任せてるところ。

なかなかソフビ製作において、どこに頼めばいいか分かんないですしね。それぞれの工程で工場がバラバラですから。
この記事最後のQ&Aで詳しく回答していますが、全工程をまとめてやってるように見えるところはそれぞれを外注してるだけです。
自分も最初は分かんないもんだから某大手に一括で任せちゃってめちゃくちゃ高くなり…各工程に紹介料が乗っかっていきますしね。

さて、デジタル造形にあたり、冒頭に書いた
「ここの部分の角度がこれだと成型できないね。ゾルが行き届かない。」
などの問題は相談して解決するほかありません。相談というかアドバイスに近いですね。
ソフビの性質上物理的に成型出来ないカタチは誰がどうやったって無理なので。
デザイン画(正面、横、背面のイラスト等)をもらって造形するわけですが、
分割箇所をどこにしようか?とかも含めどうやったらソフビとして作れるか、ってとこも相談して造形ですね。ワックス転換の工場、成型工場にも確認しながら進めます。なるべく考え尽くして制作しましょう。

原型から製品化までの収縮率(縮む率)は、だいたい5-6%とされていますが工場によっては2-3%のところもあります。
私も新作の原型を工場に提出したところですが、おおよそ5-6%のはずなのでそれを見越したサイズにしています。
良くも悪くもソフビって、昔ながらの伝統工芸&手作業ですから不安定なトコロがあります。

吉田健児
吉田健児

昔ながらの作り方ですからね。それ以外に作る方法が無いから。先日、海洋堂の専務さんと話してる時に「(ソフビを作る工程を)なんとかもっと早くショートカット出来ないか探ってる」っておっしゃってたけど、大企業をもってしても無理なんだよね。今後もまあ無理だろうなと思っちゃう。各工場行ったけどホント面白いよ。

ちなみに、分割箇所を作らない1パーツでのソフビはいわゆる”指人形”です。
ソフビの成型は穴から材料を引っこ抜くわけで、必ず大きな穴が空いている。その穴を塞ぐようにパーツをくっつける事で一般的なソフビになるわけですね。そして、その付加価値としてその部分が動きますしね。
穴が開きっぱなしで安価に出来るのが指人形ということです。いい名前つけましたよね”指人形”って。開きっぱなしなだけなんですが。

造形物を実際にこの世界に出現させるのだ

さて、やっと最重要の造形が終わりました。
次は造形物を実際にこの世界に出現させます。3Dプリンターの出番です。
導入し使用しているのは2023年時点で最新のモノで、解像度8Kを誇る光造形です。
今後買い換える必要も無いオーバースペックだろうなってくらい最強クオリティーです。4Kどころじゃない8Kですからね。
0.01mm〜0.05mmの極めて薄い層を何時間もかけて重ねていきます。そうやって造形したものが姿を現すわけですね。

実際に出力する際に、サポートと呼ばれる柱をくっつけます。柱で支えながらカタチづくっていくわけですね。
この柱の配置も厄介で経験則が必要、その上でトライアンドエラーの連続です。光造形と呼ばれる最新かつ究極の方式は、超細部まで綺麗に出力できる代わりに難易度がそこそこ高いです。

吉田健児
吉田健児

サポートを配置しまくったらすんなり成功するんだけど、後でサポートを全部綺麗に除去しなきゃいけないわけだからね。なので、なるべく少ないサポート数で仕上げたいから結構手こずるんですよね。


数えきれないほど出力してるし、もう慣れきってるんですが。それでもカタチが特殊だったので相当難しく、苦労しました。
原型として使用するから綺麗に出力しないといけないわけで、何度も何度もトライアンドエラーで材料のレジンだけでも2ℓ(10000円相当)くらい使ったんじゃないかな。(これは相当疲れた)
業者に頼んだら高額だし、原型として使用できるほどのクオリティーは対応してないはず。
原型として使用できるくらいのクオリティーでの出力を、やってくれるとこ無いんじゃないかな分かんないけど。

表面を綺麗に仕上げるのだ

やっと出力成功!(涙)
の次は、サポートを除去し表面処理をしないといけません。

見てわかりますが、柱がいっぱいついてるでしょ?
これを綺麗に全て排除していかないといけません。原型として工場に提出するんだから。

造形物にいくつもの柱が埋まりまくってるわけなので、ニッパーで切っただけじゃその跡は全く消えません。『サポート痕』と呼ばれます。これを1箇所ずつリューターやヤスリなどを駆使して地道に綺麗にしていくわけです。
コツと道具と時間が必要ですが、まあ根性で綺麗に仕上げるしかありません。
このまんまシリコンで型を取り、このまんまの製品になるわけなのでね。

表面処理は、乾燥→二次硬化も含めて丸2-3日くらいで仕上がるかな。なかなか苦行です。
ブースに持って行ってエアブラシでサーフェイサー吹きながら、時にはパテで埋めながら、何度も何度も繰り返して処理していきます。エアブラシ使えないと綺麗に仕上げるの厳しいかな。

そして、、、

やーっ!!!!

かいじゅうハムラハムおとこの原型です。

まあこれ完成直前の姿なので分割付近がハゲてるように見えますが、この後最後のサーフェイサーを吹いてつるっつるのムッチムチに仕上がりました。サポート痕無いでしょ?かわいいね。
ちなみに原型やサーフェイサーでこのようなグレー(テラコッタ)が多いのは、”グレーが最も凹凸や傷を目立たせるから”です。
このようなグレーの状態ですら傷やサポート痕が見えないのなら、メチャクチャ綺麗に仕上がってるということですね。

ようやく終了。この後、ワックス転換をしてもらう為にこの原型を工場に送りました。

ソフビを作るための費用はいくらくらい?


さて色々書いてきましたが、以上が当方で出来ることです。原型製作に至るまで一括して全て自分の工房で出来るってとこですね。
労力や時間はモノによるので、費用とかはご相談ください。
現状、100000-150000円くらいでデジタル造形から原型制作を一括で引き受けて制作しています
自分で作ってるのがメインなので、報酬高くなくていいってスタンスです。その代わりと言ってはなんですが、忙し過ぎる時はお断りさせてもらう時がありますご了承ください。あと、やはり個性とかスタイルは出ちゃうので私じゃない方が良さそうな場合。

吉田健児
吉田健児

あくまで自分の作品メインなので、スタイルがある程度合うものなら造形を引き受けさせてもらいます。

以下からご相談ください。
https://hamllado.online/toiawasedesu/

なんか営業のメールがめっちゃ多くて埋もれる可能性あるので、TwitterInstagramの方が確実かもしれません。
フォローしてからDMしてくださいね。フォロー外からのDMは通知来ないので。

最後に、
他の各工程のおおよその目安ですが
(あくまで目安です。各工場に見積もりだしてもらわないと分かりません。我々作家もいつも前もって分からないのです。作家仲間も私も新作を作るたびに「おおよそ40〜50万円くらいあればイケるよね」って感覚ですね。)
・ワックス転換 100000-200000円? ※パーツ数や大きさで変動
・金型製作 100000-150000円? ※パーツ数や大きさで変動。
・成型 ※作りたい数によります

吉田健児
吉田健児
さらに、塗装の際に必要ならば塗装治具・電鋳マスク 1箇所あたり30000円くらい。とかね。エアブラシで綺麗に塗り分ける為の特注の銅板を作る工場もある。私の作品なら上にも載せてる”ハムおとこ”を塗装する為に15万円くらいかけて特注の電鋳マスク作ってるよ。『顔』『髪』『口』『歯』とかをかなり綺麗に塗り分けたかったからね。あくまでそこは「必要ならば」ってところなので無くてもいいです。実際作らない人も多い。私は最近自分で作っちゃってる。


ソフビ作ろうと思ったらかなり費用かかりますよね。こればっかりはどうしようもないんですが。
さらに一つずつ彩色ですからね。エアブラシ必須だしそうなると塗装ブースも必須だし…的な。
なかなか勇気いりますよね、最大の難関である造形なら手伝いますよ。イラストレーターさんとかはほぼ皆さん造形師に投げてますしね。
踏み出すのは大変ですがご安心を、感動は凄いです。
自分が生み出した命がたくさんの人の手に渡り、海も越えて、その人にとって”大切なモノ”になっている。心に開いた穴を埋めているかもしれない。そうであったら嬉しいなという願いも込めて。

<よくあるQ&A>

ハム
ハム
Q:イラストが苦手なので作ってもらいたいものを上手く伝えられません。その場合どうすればよいでしょうか?

吉田健児
吉田健児
A:イラストはもちろん正確なものがあれば話は早いのですが、それが無理だとしても依頼して頂く方が「確かな”答え”を持ってる」状態じゃないと造形する側としたらかなり厳しいです。”こうしたい”とかって答えが無いとこちらも正解を出しようがないですしね。ただ、そのような依頼も受けるので基本的には一緒に考えて探って答えを探します。程度によりますが、大丈夫っちゃ大丈夫。

ハム
ハム
Q:原型制作の見積もりってパーツの数や大きさで決められているのでしょうか?

吉田健児
吉田健児
A:原型制作は、[①造形→②3Dプリンターでの出力→③表面処理]の工程になります。パーツ数や大きさは②③にダイレクトに関わるのでそこも考慮はします。材料のレジン自体が結構高いですしね。それよりも基本的には、①の造形所要時間がおおよそ検討がつくので、時給1000円ちょい換算くらいならいいかなって思って見積もり出してます。後悔する時もありますが後出しで変更は今のところしてません。私としては並行して色々やってる中で、自分の都合で”合間にも出来る”ってのがありますしね。

ハム
ハム
Q:原型制作を完了していただいたあとはどうなるんですか?

吉田健児
吉田健児
A:仕上がった原型は依頼者に送ります。直接ワックス転換の向上に送る場合もあります。次の工程は『ワックス転換』なので、私自身も任せてるワックス転換専門の工場をご紹介しています。ここで私の仕事は終わりです。ご自身で見積もり等お問い合わせください。我々のような作家も、ワックス転換や金型がいったいいくらになるのか提出するまで毎回分かりません。おおよそは見当ついてますけどね。造形の次に肝となる工程なので、確かな腕と価格を考えて断トツにベストな選択肢ですが、紹介料なども全く無いので私としてはどこにしてもらっても構いません。通常は私がお勧めするルートにした方が良いです。成型可能なカタチかどうかワックス転換業者と打ち合わせもしなきゃいけませんしね。仕事任せないのに打ち合わせしにくいし。。。包み隠さず、私に全くメリットありませんので裏事情も何もありません。せっかく造形頑張ったのでちゃんとワックス転換して欲しいなって思いはありますが。現役の作家さんの造形を担当した時はあんまり紹介はしませんね。各自、今までの繋がりの業者とかあるようで。その場合は、そのワックス転換業者と私で打ち合わせをすることになります。

ハム
ハム
Q:ソフビを作る工程で、プロがそれぞれバラバラとのことですがほんとに全部やってくれるところないんでしょうか?

吉田健児
吉田健児
A:存在しません。原型制作、ワックス転換、金型作成、成型、彩色マスク作成などなど、各工程を一括で引き受けてる(ように見える)ところは各工程を外注してるだけです。私にも工場から造形の相談来ますよ。その分高くなりますし、どこがやってるのか通常教えてくれないのでクオリティが分かりません。(だって教えちゃったらみんな直接依頼しますからね。。その方が紹介料上乗せされてない分だけ安いし。)というか、小さい産業なのでそもそも各工程の工場が数えるほどしか存在しませんw。そのうちのどこかに投げるしかないわけですが、高くなるうえに質も分からない。セミプロみたいな個人に投げたりするとこも知ってます。各工程、専門的な技術も必要ですし設備も必要ですので全部の工程やれって方が無茶なんですね。だって私も、原型制作をしてますがそれ以降の工程までやれと言われても技術も無ければ設備もありません。作家が各工程をバラバラに依頼する、せざるを得ないのは理由があるのです。



-profile-
KENJI YOSHIDA/吉田健児
キャラクターデザイナー/造形師
2022年、ハムスターを愛するあまり、キャラクターデザインと立体造形に没頭し始める。
“そのハムスターは大きくなり過ぎた…”
大きくなり過ぎて怪獣化し始めているハムスター『かいじゅうハムラ』でデビュー。
同年、早々にワンダーフェスティバルのパンフレット表紙に抜擢、台湾進出など活動を始める。
「自分がそうしてもらったように。誰かの心に空いた穴を埋められるような、そんなモノを生み出して作っていきたい。」

Singer/Songwriter
SENNHEISER審査員特別賞受賞アーティスト。
音楽ナタリー特集やTSUTAYA全国レンタル他、各ラジオにて特集、パワープレイ、エンディング曲。日本最大級の音楽情報誌JUNGLE☆LIFEコラム連載。CulTV×吉田健児タイアップ曲『ディストーション』など。
1st Album『forthemorningafter/吉田健児』 [produced by 西原誠(ex.GRAPEVINE)]
1st Single『I LOVE YOU/吉田健児』 [produced by 浅田信一]
CulTV×吉田健児タイアップ『ディストーション/吉田健児』 [produced by 五味誠(ZEPPET STORE)]